jujutsu

私の前では只人であって

 古い校舎の廊下は足音が良く響く。それが誰の足音なのか判断できてしまう程度には。 ただ、常なら静かな足取りであるはずなのに、今日は僅かに荒々しい。その時点で嫌な予感に胸がざわめく。足音を消して歩くことだってできるというのに。その歩みが確実に…

春の祈り

 春の嵐、という表現がぴったりの一日だった。昨日までの暖かさは何処へやら。長引いた任務を終えて寮へ帰る夜道、冬に戻ったかのような冷たい風がびゅうびゅうと頬を叩いた。この週末に満開を迎えるはずだった桜の花びらが、強い風に煽られて散り散りに舞っ…