平凡な話をしよう
朝というには遅く、昼には少し早い時間。ゆったりとしたこの時間は貴重だ。「今日は休みなんだっけ」 ふわと欠伸をこぼして、猫みたいな伸びをして、ただでさえ細い体躯がさらに細く引き伸ばされた。これでも未だましになったほうだが。「ああ。顔洗ってこ…
bsd中太
It’s pouring.
太が織の前で吐く話。推しの嘔吐はいくつあっても良い! 「来なかったな」二つ折りの財布から何枚かの札を取り出しながら、織田は坂口に声をかけた。「大きな取引があるとは聞いていましたが、難航したのかもしれませんね」馴染みのバーに集う夜は…
bsd織太
悪辣な人
BEASTで首領の世界線 少しモブ要素あり 嘔吐 毛足が長い絨毯の上を、重ったるく間抜けな音が滑っていく。ずる、ずる、ずると、さながら死体の入った袋を引きずっているような音だった。廊下に長く伸びる真紅の絨毯を硬い革靴が逆撫でて、二…
bsd中太
コインランドリー・オーバーナイト
コインランドリーの某イラストに感化されて書いてしまいました。当社比甘いはず。捏造のみ、ほんのり事後 「さすがにこんな時間だと誰もいないねぇ」足取り軽く、手ぶらで三歩前を歩く太宰が呟いた。片や俺はシーツにタオルに下着まで詰め込まれた…
bsd中太
ひとり睡眠アンソロ
[甘えの導入]カシャンと、錠前の動いた音がした。それから僅かに金属の軋む音。足音は一つも聞こえない。この時間にこの部屋への侵入者、心当たりのある人物は──ひとり。此処のセーフハウスの所在は、直属の部下にも姐さんにも、首領にすら伝えていない。…
bsd中太
in the pool
ふらふらと覚束ない足で、時々互いの肩や身体をぶつけ合いながら歩道を辿る。馴染みのバーで顔を合わせて、どうしてこの店に手前がいるんだ、君に言われたくない、気に入ってる店なのにもう使えなくなる、などと悪態をつきながらも、取り留めのない話をして、…
bsd中太
呼び名について
「ご就任、お目出度うございます首領」「首領、おはようございます」「コートをお預かりします、首領」「首領、こちらへどうぞ」「流石ですなぁ、ポートマフィアの首領は」「首領は素晴らしい手腕をお持ちだ」「首領」「首領」「首領」「首領」視界に入る人間…
bsd中太
水蜜桃
案内された部屋の中央に豪奢なテーブルセットが鎮座する。大きすぎるそのテーブルに広げられたクロスには手の込んだ細やかな刺繍が施されていたが、それを覆い隠すように大小様々な皿が載せられていた。テーブル上から、白い湯気がふわりと立ち上る。「さぁ、…
bsd中太
口紅に毒
直接的ではないですが、太が他の女性と関係がある描写があります。ヌヌ黒でキスについて短編 ソファに深く沈みこむと、ボトムのポケットに違和感を感じた。何かを入れた覚えがない。探るように手を滑り込ませると指先に固いものが触れ…
bsd中太
春
フィーリアが好きです 麗らかな春、という表現が適しているような日だった。柔らかな風が頬を撫でるように通り過ぎていく。木々の隙間から漏れる光が目に眩しく、影が恋しくなって帽子のつばを少し傾けた。4月になって気温もぐっと上がり、暫く歩…
bsd中太
共依存に唇を噛む
双黒の匂いにまつわる話。 よく知った香りが鼻を掠めた。爽やかで主張しすぎないが、次第にスパイシーな香りに変化し、ラストノートはサンダルウッドとムスクが穏やかに立ち昇る。繊細で軽やかだが、芯を感じるような香り。そして混ざり合う、僅か…
bsd中太
生活感
幸せごはんは相方が初めて作ってくれたスクランブルエッグ#ふたりの幸せごはんhttps://shindanmaker.com/706141診断メーカーからお題をお借りしました。ナチュラルに同居している双黒 パンがこんがりと焼ける匂い…
bsd中太